二人で収入を合算してローンを組みたい人は連帯債務、片方がサポート役で十分な人は連帯保証が向いています。どちらを選ぶかで住宅ローン控除の適用範囲やリスクの大きさが変わります。
結論 ─ こんな人には連帯債務・連帯保証がおすすめ
二人とも正社員で収入が安定しており、住宅ローン控除をそれぞれ最大限に活用したい共働き夫婦には連帯債務が向いています。一方、主たる借り手の収入だけで審査を通したいが、万一の際の保証人(借り手が返せなくなったときに代わりに返済する人)を立てる必要がある場合は連帯保証が選ばれます。どちらが有利かは年収・物件・将来設計によって異なるため、条件を整理したうえで判断することが大切です。
それぞれの仕組み
連帯債務とは
連帯債務(れんたいさいむ)とは、複数人が同じローンに対してそれぞれが全額の返済義務を負う仕組みです。たとえば夫婦2人で3,000万円を連帯債務で借りた場合、夫も妻も3,000万円全額の債務者となります。金融機関はどちらにでも全額の返済を請求できます。
二人の収入を合算して審査するため、借入可能額が増えやすいのが特徴です。また、住宅ローン控除(年末ローン残高の0.7%を所得税から差し引く制度)を持分割合に応じて2人がそれぞれ申告できるため、控除の恩恵を最大化できます。フラット35などの一部商品で利用できますが、取り扱いのある金融機関が限られる点には注意が必要です。
連帯保証とは
連帯保証(れんたいほしょう)とは、主たる借り手(主債務者)が返済できなくなった場合に、保証人が代わりに返済義務を負う仕組みです。通常の保証と異なり、「まず主債務者に請求してほしい」という主張(催告の抗弁権)が認められないため、金融機関は主債務者と同等の立場で保証人に請求できます。
収入合算の審査は可能ですが、住宅ローン控除を申告できるのは主債務者のみです。連帯保証人は債務者ではないため、物件の共有持分を持てないケースもあります。配偶者を収入合算者として申し込む際に多く使われる形態です。
比較表
| 項目 | 連帯債務 | 連帯保証 |
|---|---|---|
| 返済義務 | 2人とも全額の債務者 | 主債務者が主、保証人は補完 |
| 収入合算 | できる | できる |
| 住宅ローン控除(0.7%) | 2人とも申告可能(持分割合による) | 主債務者のみ申告可能 |
| 物件の共有持分 | 持てる | 保証人は原則持てないケースが多い |
| 団体信用生命保険(団信) | 金融機関により2人加入可の場合あり | 主債務者のみ加入が一般的 |
| 離婚・収入変動時のリスク | 双方に全額返済義務が残るため複雑 | 主債務者が返せない場合に保証人へ請求 |
| 取り扱い | フラット35など一部に限られる | 多くの金融機関で対応 |
ケース別おすすめ
ケース①:共働き夫婦・二人とも安定収入・物件を共有名義にしたい
連帯債務が向いています。2人ともローン控除を活用できるため節税効果が大きく、持分割合に応じた権利関係も明確にできます。ただし離婚や転職などで一方の収入が大きく変わると双方に影響が出る点を念頭に置いてください。
ケース②:主たる借り手の収入が中心・配偶者はパートなど収入が少ない
連帯保証のほうがシンプルです。保証人は万一の際の保証役に徹するため、日常の返済は主債務者が行います。ただし控除は主債務者のみの適用になる点に注意が必要です。
ケース③:フラット35(全期間固定金利)を検討している
フラット35は連帯債務に対応しています。2026年4月時点の参考金利は融資期間21〜35年・融資率9割以下で年2.65%(金融機関・時期により異なります)。長期固定で収入合算・控除の最大化を目指す場合の選択肢として検討できます。
ケース④:審査の返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)を意識したい
フラット35の審査基準では、年収400万円未満は返済負担率30%以下、年収400万円以上は35%以下が目安です(住宅ローン以外のローンもすべて合算)。収入合算により借入可能額が広がる可能性がありますが、返済負担率の上限を超えないよう慎重にシミュレーションすることが重要です。
よくある質問
Q. 連帯債務と収入合算(ペアローン)は何が違いますか?
A. ペアローンは2人がそれぞれ別々のローン契約を結び、お互いを連帯保証人とする仕組みです。連帯債務は1本のローンを2人で共同して負担します。ペアローンは2人ともローン控除を申告でき、団信も各自で加入できますが、諸費用が2本分かかる場合があります。
Q. 離婚したとき、連帯債務・連帯保証はどうなりますか?
A. 離婚しても金融機関との契約上の債務関係は自動的には解消されません。連帯債務の場合は双方に全額返済義務が残り、連帯保証の場合も保証人の地位はそのままです。解消するには金融機関との協議や借り換えなどの手続きが必要になるため、専門家への相談を検討してください。
Q. 住宅ローン控除(0.7%)を2人で受けるには連帯債務しかありませんか?
A. ペアローンでも2人それぞれが控除を申告できます。連帯保証では保証人はローン控除を受けられません。2人ともローン控除を活用したい場合は、連帯債務またはペアローンのどちらかが対象になります。なお控除率は年末ローン残高の0.7%で、2030年12月31日入居まで適用されます(2026年改正による延長)。
【出典】国税庁「No.1212 住宅借入金等特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1212.htm / 住宅金融支援機構「フラット35金利情報」https://www.flat35.com/loan/flat35/kinri.html / 住宅金融支援機構「フラット35ご利用条件」https://jhffaq.jp/jhffaq/flat35/web/knowledge311.html / 国土交通省「住宅ローン減税」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

