失業保険(雇用保険の基本手当)の受給額は、退職前6か月の給与をもとに算出した「賃金日額」に給付率を掛けて決まります。給付日数は年齢・勤続年数・離職理由によって異なります。
結論 ─ 月収30万円・勤続5年・自己都合退職の場合の具体額
月収30万円(賞与なし)の会社員が5年勤続後に自己都合退職した場合を例に計算します。
① 賃金日額の計算
退職前6か月の賃金総額 ÷ 180日 = 賃金日額
(30万円 × 6か月)÷ 180日 = 1万円/日
② 基本手当日額の計算
賃金日額に給付率(50〜80%)を掛けます。賃金日額が1万円の場合、厚生労働省の定める給付率は概ね50〜60%程度になります(賃金日額が高いほど給付率は低くなります)。
仮に給付率60%とすると:1万円 × 60% = 6,000円/日
③ 給付日数
自己都合退職・勤続5年以上10年未満・30〜34歳の場合:90日(厚生労働省の所定給付日数表より)
④ 総受給額の目安
6,000円 × 90日 = 約54万円(税引前の目安)
なお、自己都合退職の場合は3か月の給付制限期間(待機期間7日+給付制限2か月または3か月)があるため、実際に受け取り始めるまでに時間がかかります。
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計算の前提(賃金日額・給付率・給付日数)
失業保険の計算に必要な前提を整理します。
賃金日額の算出方法
退職前6か月間の賃金総額(賞与・臨時収入を除く)÷ 180日で求めます。残業代・通勤手当は含みますが、賞与は除外されます。
基本手当日額の給付率(賃金日額と給付率の関係)
厚生労働省の定める給付率は賃金日額によって段階的に変わります。賃金日額が低いほど給付率が高く(最大80%)、高いほど低く(最低50%)なる仕組みです。また、基本手当日額には上限額・下限額が設定されており、毎年8月に改定されます(詳細は各年度の厚生労働省発表を確認してください)。
給付日数の決まり方
給付日数(所定給付日数)は、①離職理由(自己都合か会社都合か)、②被保険者期間(雇用保険の加入年数)、③年齢の3つの要素で決まります。会社都合退職・特定受給資格者のほうが給付日数は長くなります。
本記事の計算例は厚生労働省「雇用保険の基本手当について」の規定に基づきます。
条件別早見表
| 離職理由 | 被保険者期間 | 年齢(30〜44歳) | 給付日数 | 月収30万円時の目安総額 |
|---|---|---|---|---|
| 自己都合 | 1年以上5年未満 | 全年齢共通 | 90日 | 約54万円 |
| 自己都合 | 5年以上10年未満 | 全年齢共通 | 90日 | 約54万円 |
| 自己都合 | 10年以上20年未満 | 全年齢共通 | 120日 | 約72万円 |
| 自己都合 | 20年以上 | 全年齢共通 | 150日 | 約90万円 |
| 会社都合(特定受給資格者) | 5年以上10年未満 | 30〜34歳 | 120日 | 約72万円 |
| 会社都合(特定受給資格者) | 10年以上20年未満 | 30〜44歳 | 180日 | 約108万円 |
| 会社都合(特定受給資格者) | 20年以上 | 30〜44歳 | 210日 | 約126万円 |
※ 目安総額は基本手当日額6,000円(月収30万円・給付率60%想定)× 給付日数で試算。実際の給付率・日額は賃金日額により異なります。また上限額・下限額の制限があります。
注意点
① 給付制限期間に注意
自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、原則2か月(5年間に2回以上の自己都合退職の場合は3か月)の給付制限があります。この期間中は基本手当を受け取れません。会社都合退職(特定受給資格者(リストラや倒産など会社の事情による離職者))の場合、給付制限はなく待機7日後から受給できます。
② 受給資格の確認
基本手当を受けるには、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上(会社都合等は6か月以上)必要です。アルバイト・パートでも週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば対象になります。
③ 就職活動の義務
受給中は原則4週間ごとにハローワークへ来所し、2回以上の求職活動実績を報告する必要があります。不正受給は全額返還+3倍返しのペナルティが課されます。
④ アルバイト収入との調整
受給中にアルバイトをした場合、収入に応じて基本手当日額が減額または支給停止になることがあります。必ずハローワークへ申告してください。
⑤ 基本手当日額の上限・下限
基本手当日額には毎年8月に改定される上限額・下限額があります。高収入の方は上限額に頭打ちになる場合があります。最新の上限・下限は厚生労働省またはハローワークで確認してください。
よくある質問
Q. 自己都合退職と会社都合退職では給付日数にどのくらい差がありますか?
A. 同じ勤続年数・年齢でも大きく異なります。たとえば勤続10年以上・30〜44歳の場合、自己都合なら120日、会社都合(特定受給資格者)なら180日と、60日もの差が生じます。会社都合の場合は給付制限期間もないため、より早く受給を開始できます。
Q. 賞与(ボーナス)は失業保険の計算に含まれますか?
A. 賞与は原則として賃金日額の計算に含まれません。退職前6か月間の通常の給与(残業代・通勤手当は含む)を合計し、180日で割った額が賃金日額になります。賞与が多い方は、実感より受給額が低くなる場合があります。
Q. 失業保険を受給しながら副業やアルバイトはできますか?
A. 一定のルール内であれば可能ですが、収入を得た日はハローワークへの申告が必須です。1日の収入が賃金日額の最低賃金換算額を超えると基本手当の減額または不支給になります。無申告は不正受給とみなされるため、必ず申告してください。
【出典】厚生労働省「雇用保険の基本手当について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139508.html / 厚生労働省「雇用保険制度の概要」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/koyouhoken/index.html

