残業代(割増賃金)は「1時間あたりの賃金×割増率×残業時間数」で計算できます。法律で定められた割増率を正しく把握すれば、未払いがないか自分でチェックできます。
結論 ─ 月給30万円・残業20時間の場合の具体額
月給30万円(所定労働時間:月160時間)のケースで、法定時間外労働(残業)が月20時間あった場合の割増賃金を計算してみましょう。
まず1時間あたりの賃金(時間単価)を求めます。
- 時間単価 = 月給 ÷ 月の所定労働時間 = 300,000円 ÷ 160時間 = 1,875円/時間
次に、法定時間外労働(1日8時間・週40時間を超えた残業)の割増率は25%以上(時間外労働が月60時間を超える部分は50%以上)と定められています(労働基準法第37条)。
- 割増賃金(60時間以内分)= 1,875円 × 1.25 × 20時間 = 46,875円
つまり、月給30万円・残業20時間(法定時間外・60時間以内)の場合、割増賃金の目安は約46,875円となります。
計算の前提(割増率・賃金の種類・労働時間の区分)
割増賃金を正確に計算するには、以下の前提を理解することが重要です。
割増率の種類(労働基準法第37条)
| 労働の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(法定時間超・月60時間以内) | 25%以上 |
| 時間外労働(月60時間超の部分) | 50%以上 |
| 休日労働(法定休日:週1回) | 35%以上 |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 時間外+深夜の重複 | 50%以上 |
| 休日+深夜の重複 | 60%以上 |
※中小企業も2023年4月以降は月60時間超の割増率50%以上が適用されています。
時間単価の計算に含めない手当(除外賃金)
家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・賞与(年3回以内)は時間単価の算定基礎から除外できます(労働基準法施行規則第21条)。逆に、これら以外の諸手当(職務手当・皆勤手当など)は基礎賃金に含める必要があります。
計算式まとめ
- 時間単価 = (月給 − 除外手当合計) ÷ 月の所定労働時間
- 割増賃金 = 時間単価 × 割増率 × 該当時間数
条件別早見表
以下は月の所定労働時間を160時間として、月給と残業時間の組み合わせで割増賃金の目安(25%割増・法定時間外60時間以内)を示した早見表です。
| 月給 | 時間単価 | 残業10時間 | 残業20時間 | 残業40時間 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 1,250円 | 15,625円 | 31,250円 | 62,500円 |
| 25万円 | 1,563円 | 19,538円 | 39,075円 | 78,150円 |
| 30万円 | 1,875円 | 23,438円 | 46,875円 | 93,750円 |
| 35万円 | 2,188円 | 27,350円 | 54,700円 | 109,400円 |
| 40万円 | 2,500円 | 31,250円 | 62,500円 | 125,000円 |
※前提:所定労働時間160時間/月、割増率25%(法定時間外・月60時間以内)、除外手当なしの場合。残業が月60時間を超える部分は割増率50%以上となるため、別途計算が必要です。
注意点
残業代の計算でよくある落とし穴を確認しましょう。
①「法定外休日」と「法定休日」の違い
会社が定めた休日(所定休日)に働いても、週に1回以上の法定休日(週1日または4週4日)に該当しなければ、割増率は35%ではなく25%です。自分の休日が「法定休日か否か」を就業規則で確認しましょう。
②固定残業代(みなし残業手当)に注意
毎月一定額の「固定残業代(あらかじめ一定時間分の残業代を含めて支払う仕組み)」が設定されている場合、その時間数を超えた分は追加で請求できます。固定残業代の時間数・金額が明示されているか確認してください。
③時効は3年
未払い残業代の請求権は、支払日から3年で時効となります(労働基準法第115条・2020年改正)。気になる場合は早めに確認・請求することが重要です。
④管理監督者への適用外
「管理監督者(経営者と一体的な立場にある労働者)」は時間外・休日労働の割増賃金規定が適用されませんが、深夜割増は適用されます。肩書だけで判断せず、実態を確認しましょう。
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よくある質問
Q. アルバイトにも割増賃金のルールは適用されますか?
A. はい、適用されます。パート・アルバイトも労働基準法の対象であり、法定時間(1日8時間・週40時間)を超えた労働には25%以上の割増賃金が発生します。雇用形態に関わらず同じルールが適用されます。
Q. 残業代が出ない「サービス残業」は違法ですか?
A. 使用者が労働者に法定時間外・休日・深夜に労働させたにもかかわらず割増賃金を支払わないことは、労働基準法第37条違反です。未払いが発覚した場合、会社は遡って支払義務を負います。
Q. 月60時間を超える残業があった場合、どう計算すればよいですか?
A. 月60時間以内の部分は25%以上の割増率で計算し、60時間を超えた部分は50%以上の割増率で別途計算します。例えば月給30万円・所定160時間で残業70時間の場合、最初の60時間分=1,875円×1.25×60時間=140,625円、超過10時間分=1,875円×1.5×10時間=28,125円、合計168,750円となります。
【出典】厚生労働省「時間外労働の割増賃金について(労働基準法第37条)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roushi/index.html / 国税庁「No.2260 所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

