医療費控除でいくら戻る?計算方法を解説

医療費控除で戻るお金は「(医療費合計-10万円)×所得税率」で計算できます。年収500万円・医療費20万円の場合、約2万円の還付が目安です。

結論 ─ 年収・医療費別の還付金額の具体例

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得税・住民税が軽減される制度(確定申告で申請する税の優遇措置)です。還付される金額は以下の計算式で求めます。

計算式:(年間医療費合計 - 保険金等で補填された金額 - 10万円※)× 所得税率+(同額 × 住民税率10%)

※総所得金額等が200万円未満の方は「総所得金額等 × 5%」が控除の足切り額になります。

具体例として、給与収入500万円・独身・医療費20万円のケースで計算します。

  • 給与所得控除額:500万円 × 20% + 44万円 = 144万円(収入360万円超〜660万円以下の区分)
  • 給与所得:500万円 - 144万円 = 356万円
  • 社会保険料控除(概算15%):500万円 × 15% = 75万円
  • 基礎控除:48万円
  • 課税所得(概算):356万円 - 75万円 - 48万円 = 233万円
  • 所得税率:課税所得233万円は「195万円超〜330万円以下」の区分 → 税率10%、控除額9万7,500円
  • 医療費控除額:20万円 - 10万円 = 10万円
  • 所得税の還付額:10万円 × 10% = 1万円
  • 住民税の軽減額:10万円 × 10% = 1万円
  • 合計還付・軽減額の目安:約2万円

なお、所得税率は法令参照ブロックの速算表(国税庁「No.2260 所得税の税率」)に基づいています。

計算の前提(所得税率・住民税率・控除の仕組み)

医療費控除の計算に必要な主な前提条件は以下のとおりです。

  • 対象期間:1月1日〜12月31日の1年間に支払った医療費
  • 足切り額:原則10万円(総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)
  • 控除上限:200万円
  • 所得税率:課税所得に応じて5〜45%(国税庁「No.2260 所得税の税率」速算表を使用)
  • 住民税率:一律10%(所得割)
  • 復興特別所得税:所得税額の2.1%を加算(〜2037年)
  • 給与所得控除:国税庁「No.1410 給与所得控除」の速算表を使用
  • 社会保険料:概算で給与収入の約15%として試算(実際は協会けんぽ加入都道府県等により異なる)

還付金は「所得税分」は確定申告後に指定口座へ振り込まれます。「住民税分」は翌年度の住民税額が減額される形で反映されます。

条件別早見表

以下は給与収入と年間医療費の組み合わせ別の、所得税還付額(概算)です。社会保険料は給与収入の15%、基礎控除48万円として試算しています。住民税軽減分(控除額×10%)は別途加算されます。

給与収入 医療費15万円 医療費20万円 医療費30万円 医療費50万円
300万円(税率5%) 約2,500円 約5,000円 約1万円 約2万円
400万円(税率10%) 約5,000円 約1万円 約2万円 約4万円
500万円(税率10%) 約5,000円 約1万円 約2万円 約4万円
700万円(税率20%) 約1万円 約2万円 約4万円 約8万円
1,000万円(税率33%) 約1.65万円 約3.3万円 約6.6万円 約13.2万円

※税率は課税所得(給与収入から給与所得控除・社会保険料・基礎控除を差し引いた概算値)に対して、国税庁速算表を適用した目安です。扶養控除や配偶者控除等の有無により実際の税率は異なります。住民税軽減額(控除額×10%)は上記に含まれていません。

自分の年収・医療費を入力してより正確な金額を確認したい方は、以下のツールをご活用ください。
医療費控除の還付額を自動計算する →

注意点

医療費控除を申請・活用する際に押さえておきたいポイントをまとめます。

  • 対象となる医療費・ならない医療費:病院・歯科・薬局での支払いは基本的に対象ですが、美容目的の治療や予防接種、健康診断(疾病が発見されて治療につながった場合は対象)などは原則対象外です。
  • 保険金・給付金は差し引く:生命保険や医療保険から受け取った給付金、健康保険の高額療養費(自己負担を超えた費用を補填する制度)は医療費から差し引く必要があります。
  • 領収書の保管:申告後5年間は領収書を保管してください(税務署から提示を求められる場合があります)。
  • 申告期限:確定申告の期限は翌年3月15日ですが、還付申告(税金を取り戻す申告)は5年間さかのぼって申請できます。
  • セルフメディケーション税制との選択:医療費控除とセルフメディケーション税制(特定のスイッチOTC医薬品の購入費用に対する控除)はどちらか一方しか選べません。どちらが有利か試算した上で選択しましょう。
  • 住民税への効果は翌年:住民税の軽減は翌年6月以降の天引き額に反映されるため、すぐに手元に戻ってくるわけではありません。

よくある質問

Q. 医療費控除はいくらから申請する意味がありますか?
A. 年間医療費が10万円(総所得200万円未満の方は総所得の5%)を超えれば申請できます。還付額は数千円程度でも、住民税軽減と合わせるとメリットがあります。申請自体は無料ですので、超えている場合は申告することをおすすめします。

Q. 家族分の医療費をまとめて申告できますか?
A. はい、生計を同じくする配偶者や親族のために支払った医療費は合算して申告できます。所得が高い方(税率が高い方)がまとめて申告すると還付額が大きくなります。

Q. 医療費控除の申請はどこで行いますか?
A. 確定申告(税務署への申告手続き)で行います。会社員でも自分で確定申告が必要です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)でオンライン申告が可能です。医療費の明細書を用意して申告してください。

【出典】国税庁「医療費を支払ったとき(医療費控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm / 国税庁「No.2260 所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm / 国税庁「No.1410 給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

タイトルとURLをコピーしました