子どもや親を養っている人は扶養控除で税負担を減らせる可能性があり、対象外か判断に迷う人はまず所得要件から確認するのが近道です。
結論 ─ こんな人に扶養控除が効く
扶養控除(ふようこうじょ・家族を養うことで所得税が安くなる仕組み)は、生計を一にする家族の合計所得金額(年間の収入から必要経費を差し引いた金額)が48万円以下であれば適用できます。給与収入のみの場合、給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ・サラリーマンの必要経費に当たる控除)が最低55万円あるため、給与収入103万円以下が目安となります。
- 大学生の子どもがいる人:19〜22歳なら「特定扶養親族」として控除額が大きくなります。
- 同居の親が年金生活者の人:年金収入が一定以下なら扶養に入れられます。
- パート収入の配偶者がいる人:配偶者は「配偶者控除・配偶者特別控除」が別途あるため、扶養控除の対象外です。
扶養控除の仕組み
扶養控除は、納税者(税金を納める本人)の課税所得(かぜいしょとく・税率をかける前の所得)から一定額を差し引くことで、所得税と住民税の両方を減らせる制度です。控除額は扶養親族の年齢や同居の有無によって異なります。
年齢区分と控除額の比較表
| 区分 | 対象年齢 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
|---|---|---|---|
| 一般扶養親族 | 16〜18歳、23〜69歳 | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養親族 | 19〜22歳(大学生世代) | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(同居) | 70歳以上・同居 | 58万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(別居) | 70歳以上・別居 | 48万円 | 38万円 |
| 16歳未満 | 〜15歳 | 対象外 | 対象外 |
※住民税の控除額は自治体により若干異なる場合があります。
所得要件:いくらまでなら扶養に入れる?
扶養に入れる側(扶養親族)の収入上限は以下のとおりです。
- 合計所得金額:48万円以下
- 給与収入のみの場合:103万円以下(給与所得控除55万円を差し引くと所得48万円)
- 公的年金収入のみの場合(65歳以上):年金収入158万円以下が目安(公的年金等控除110万円を差し引くと48万円)
- 公的年金収入のみの場合(65歳未満):年金収入108万円以下が目安(公的年金等控除60万円を差し引くと48万円)
なお、納税者本人(控除を受ける側)には所得制限は設けられていませんが、住民税非課税世帯などの判定には影響があります。
節税効果のケース別シミュレーション
控除による節税額は「控除額 × 所得税率」で計算できます。所得税率は課税所得によって異なります(所得税率速算表を参照)。
- ケース①:課税所得330万円超〜695万円以下(税率20%)の人が特定扶養親族(19〜22歳)を1人扶養する場合
所得税軽減額:63万円 × 20% = 12万6,000円/年
住民税軽減額(税率一律10%):45万円 × 10% = 4万5,000円/年
合計節税額目安:約17万1,000円 - ケース②:課税所得195万円以下(税率5%)の人が一般扶養親族(16〜18歳)を1人扶養する場合
所得税軽減額:38万円 × 5% = 1万9,000円/年
住民税軽減額:33万円 × 10% = 3万3,000円/年
合計節税額目安:約5万2,000円 - ケース③:課税所得695万円超〜900万円以下(税率23%)の人が同居老人扶養親族(70歳以上)を1人扶養する場合
所得税軽減額:58万円 × 23% = 13万3,400円/年
住民税軽減額:45万円 × 10% = 4万5,000円/年
合計節税額目安:約17万8,400円
課税所得の計算が複雑に感じる場合は、ツールを使うと手軽に確認できます。
よくある質問
Q. アルバイトの子どもが103万円を少し超えた場合、扶養から外れる?
A. 給与収入が103万円を超えると合計所得金額が48万円を超えるため、原則として扶養控除の対象外となります。ただし収入が150万円以下であれば「配偶者特別控除」の仕組みに近い段階的な制度はなく(配偶者以外には適用なし)、扶養控除はゼロになります。年収管理が重要です。
Q. 親が遠方に住んでいても扶養控除を受けられる?
A. 別居でも「生計を一にしている」と認められれば扶養控除を受けられます。仕送りをしている場合などが該当し、70歳以上の場合は別居老人扶養親族として所得税控除額48万円が適用されます(同居より10万円少ない)。
Q. 年の途中で就職した子どもはどうなる?
A. その年の1月1日〜12月31日の合計所得金額が48万円以下(給与収入ベースで103万円以下)であれば、年末時点で扶養控除を適用できます。年の途中で就職し年内に103万円を超えた場合は対象外となり、会社の年末調整や確定申告で修正が必要です。
【出典】国税庁「No.1180 扶養控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm / 国税庁「No.2260 所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm / 国税庁「No.1410 給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

